11月4日、ユーザベース社、ビズリーチ社、ベルフェイス社、LiBの4社で、4社に所属する20年新卒を対象に「クリティカルシンキング講座研修」を実施しました。
発起人は、当社の営業部長・江成。
「これまでにない特殊な環境で入社して半年が経ち、経験が増えた今だからこそ、仕事をするうえで大事なスキルの一つである『思考力』を身につけてほしい。そしてオンライン研修という手段を使って他社の新卒と交流することで、お互いに良い刺激を受けてもらえたら」と、既に繋がりのある3社に声をかけました。
4月に新型コロナウイルスの緊急事態宣言が発令されてから半年。未曾有の事態は、多くの人の働き方を大きく変えました。今年入社した新卒社員は、入社式がオンラインになったり、入社後の研修時も完全リモートでの参加だったという方も多くいました。当社が20卒向けに実施した「20卒の現状を知るためのアンケート」には、新人研修の際に完全リモートだったと答えた新卒は全体の約6割にのぼりました。(有効回答数: 223名)
お互いに学び合い、成長スピードをもう一段上げてほしい
江成:入社直後に新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が発令されてしまい、完全リモート勤務となった企業様も多くいらっしゃいます。その中で課題の一つとなっていたのは、新卒入社者への育成です。もちろん各社、趣向を凝らして研修を実施していたと思います。それでもやはりフルオンラインでの研修は、研修を提供する側(人事・現場)と提供される側(新卒)の中で、受け取り方が難しい側面があったのではないかと思います。少なくとも、当社はそうでした。
現場配属後、OJTを行う中で、どうしても「How」に寄った施策になってしまうことが多かったのではと考えていました。入社して半年が経ち、どんな2年目を目指すか?というこのタイミングだからこそ、仕事をする上で最も大事なスキルの一つである「思考力」、その中でも「クリティカルシンキング(批判的思考)」の考え方に触れてもらうことで、成長のスピードがもう一段上げるきっかけになるのではと考えました。
ありがたいことに、当社には人材育成やビジネススクールを運営している最大手の会社で、クリティカルシンキング講座の講師を経験していた別宮がいました。別宮にアイディアを提案したところ、「いいね!やろう!」と言ってくれたので、企画はどんどん形になっていきました。
そして、これまでの半年、順調に進んでいると思っているメンバーも、そうではないメンバーも、社会人同期がどんなミッションでどう働いているか?ということに触れることも、自身の成長にも大きく関わるのではないか。そう考え、普段多くコミュニケーションを取っている企業様にお声をかけました。
私が社会人1年目の頃は、働き方が非常にタフで、労働集約型のビジネスをしていました。働き方改革が進むことは本当に素晴らしいのですが、逆に「時間で解決すること」ができず、仕事の進め方がガラリと変わる必要性があります。短い時間で成果を出す、そのためには「クリティカルシンキング」の習性がつくことで、仕事の進め方を変えるきっかけの一つになるのではないかと思い企画・提案しました。
あなたが飲食店のオーナーだったら?
研修当日は、4社の新卒29名が参加しました。これまでにも、大学での研究だったり、自分で本で勉強したり、クリティカルシンキングについて考えたり、触れた経験がある人が多くいました。「あらためて、ここでクリティカルシンキングの考え方を知ってもらい、仕事や私生活に活かしてもらえたら嬉しいです」と、講師の別宮も気合が入ります。2時間のなかで、4種類の演習を通して、クリティカルシンキングの考え方を学んでいきました。
おかしいと感じた理由について、参加者からは「R社での営業経験は自社に本当に活きる?」「ソリューション型営業が上手そうというのは本当?根拠はどこにある?」という意見があがりました。
「そうですね、本当に?根拠は?と思うところがありますね。ここで、論理的に考えるうえで、陥りがちな罠を紹介します」と別宮。
「まず1つ目は、Bさんと雰囲気が似ているというような感覚的で根拠が曖昧なこと。2つ目は、R社での経験が活かせそう、活躍しているCさんもR社出身だしねという論理の飛躍。そして3つ目はソリューション型営業が上手そうという根拠がない決めつけ。この3つが陥りがちな罠です」
では、なぜ主張と根拠のタテの論理が弱くなってしまうのでしょうか?
別宮はこう語ります。
「『これくらいで通じるだろう』『わかってくれるだろう』という思い込みや、「(みんな・過去)も同じでしょう』という思考停止が起きてしまうからです。時間がない時や、確信がない時、イライラしている時など、思い込みや思考停止が起きやすいのではないでしょうか。そんな時には、一歩立ち止まって疑ってみたり、いったん時間的な距離を置いて冷静になってみたり、違う立場や状況から考えてみてくださいね」
実務にも活きてくる内容だと思います。通したい意見がある時には、主張に対して根拠は妥当かどうか?を常に問うていきたいですね。
あなたが忘年会の幹事リーダーだったら?
また忘年会が近づいてくるこの時期。もし自分が幹事リーダーで、以下のような報告を受けたらどう思うか?どんな風に考える必要があるかについて考えてもらいました。
「味のことしか言っていないですね」と、参加者からコメントをもらいました。
たしかに、「食材が新鮮で美味しい」「友人たちも味を絶賛」「ドリンクも美味しい」など、味のことしか書かれていないですよね。
確かに食事の美味しさは大事ですが、果たして忘年会のお店を決めるうえで大事な要素はそれだけでしょうか?
チャット機能を使って、どんな要素が必要かを一人ひとつ以上出してもらいました。
「この演習を考えるために大切なのは、A店に決めた根拠となる要素を複数出すことです。複数出すことで説得力が増します」と別宮。
「要素の優先順位はその状況によって変わると思いますが、A点を選ぶ理由には、味はもちろん、立地や費用なんかも大事な要素ですよね。説得力を持たせるためには、他に要素はないだろうか?と、横に広げて考えてみると良いですよ」今後、どんどん仕事を前に進めるために主張に対してどんな根拠があるのかを丁寧に示していき、意見をスムーズに通していけると良いですね。
最後に
最後に、別宮はこんなメッセージを伝えました。
「論理思考はすべてのビジネスパーソンの基礎となるスキル。スキルのOSといっても過言ではないので、早くから身に着けることが重要です。
論理思考において、阻害要因はマインドです。成功体験やバイアス、モチベーションが邪魔をすることがしばしばあります。だからこそ、日々意識し続けること、癖付けることが大事です。
またビジネスで大切な論理思考は、クリティカルに思考すること。そしてそれは相手ではなく、自分の思考に対してクリティカルになることが大事です。つまり、論破するための論理思考ではなく、多面的に考え、本質に迫る思考がクリティカルであり、実務で求められる思考方法です。
ぜひ皆さんには、今日学んだクリティカルシンキングを実務に、日々の生活に活かしていただけたらと思います。
数ヶ月後、数年後に振り返った時、この研修を受けてよかったと思ってもらえたらと願います」
本企画の進行に尽力してくださった、各社の皆さん、参加してくださった新卒の皆さん、本当にありがとうございました!
今回の研修結果
<コメント>※一部抜粋
・営業をしていますが、上司に「なんであの時ああいう質問したの?」「どういうロジックで考えた?」と指摘されることが多いので、直近の課題を解決につながるという点で、業務に活かせると考えました。
・ロジカルシンキングの基礎は分かったが、それを転用するとなるとまだ難しいなと思いました。筋肉を鍛えて、徐々に生かせるようにしたいです。
・今回は貴重な機会をありがとうございました!業務と少し離れてインプットする時間が最近なかなか取れていなかったので、思考の整理もできて有意義な時間になりました。このような機会だけに頼らず、積極的に学びを取りにいきたいと思います。
・他社との合同の研修は今回が初めてだったせいか、とても楽しんで学ぶことができました。自分は営業をしていますが、商談の場でもっと論理的に説明できていれば…と悩んでいたので、まさに今の課題解決につながる題材で大変勉強になりした。今回の経験を活かし、業務改善に努めていきます。
<コメント>※一部抜粋
・フルリモート化の影響で社内で横のつながりを作りづらくなり、視野が狭くなりがちな状況下で他社の同期と接点が持てたことが最大の価値です。
・3か月の実務を経てオンボーディング後のタイミングでしたので、クリティカルシンキングの内容と具体的実務とが結び付けやすい状態にあったと感じ、学び得られたものも多かったと考えています。
・時期としても、コンテンツとしても非常に大事なものだった。事前課題、当日のパフォーマンス含めて、今実務で出ているパフォーマンスと相関していたことも、自身のポテンシャルを出しあぐねているメンバーからしても合点がいったとも思います。加えて、他社の新卒の積極性に「適度な」焦りも発生させられたのでは、と。
おまけ:別宮が選ぶ、ロジカルシンキングを学ぶのにオススメの本
気になった本があれば、ぜひ読んでみてくださいね。