こんにちは、LiB広報の岡田です。
本年5回目の開催となる『Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2021』は、前回より、サーベイ内容を刷新し、フィードバックレポートを提供を開始しました。そのサーベイの設計責任者を担う、土橋徳久さんにインタビューをしました。
『Forbes JAPAN WOMEN AWARD』で担っている役割を教えてください。
前回(2019年)のアワードから、エントリー企業・団体様と、企業・法人で働く役員・従業員にお答いただくサーベイの設計を担当しています。
前回は、2018年までにエントリーいただいた企業様のうち20社に、社内における女性活躍の課題感や、アワードの改善点についてヒアリング調査を行い、サーベイ内容を大幅に改善しました。
ヒアリングの中で、「女性向けのサービスや商品を提供する業種と単純比較されても不利である」「業種によって課題やゴールが変わることを理解してほしい」という声をいただきました。
課題を聞いて、本当にそのとおりだなと思い、厚生労働省が管理する女性の活躍推進企業データベースから、業種ごとの女性活躍に関する数値を洗い出し、そこから業種別・規模別に偏差値を出してスコア算定し、ランキングに紐づけるようにしました。
ある企業様からは、「育休後にスムーズに業務に復帰してもらうために、育休前に、本人、上司、人事部で、産休期間中のコミュニケーションや、復職に向けた準備、復職時の希望について話し合うことを義務付けている」という話をお聞きし、このような活躍しやすい環境づくりのための取り組みで結果に繋がっている施策をサーベイ内容の一項目に入れるように改善しました。
また前回から、サーベイに回答いただいた企業様には、個社別のフィードバックレポートも無料で提供しています。
↑フィードバックレポートの一部
サーベイを改善する中で、大変だったことや、葛藤したことはありますか。
まず常に意識しているのは、「どうしたら、女性活躍推進への指標において、信頼される物差しができるのか」ということです。
大企業に目を向けてサーベイを作成すると、中小・ベンチャー企業が答えづらいものになってしまいます。逆もしかりです。そうすると、その項目を聞かれる時点で、「自分たちは対象ではないのでは?」と感じてしまうと思います。
例えば、中小企業・団体は、大企業ほど人事施策を充実させることが難しい場合もあり、答えづらくなることがありました。なので、サーベイの企画・設計段階において、規模別の視点で答えづらくないかを念入りに確認し、ブラッシュアップを重ねました。
前回、サーベイを改善した後、企業様からどのような反応をもらいましたか。
ある受賞企業様が、前回のアワードのコメントで「今年はエントリーをしないことに決めていましたが、サーベイの内容が良かったから出ました」と言ってくださいました。
その企業様は、さまざまなアワードで賞を獲られていて、エントリーするつもりはなかったようなのですが、サーベイ内容を決め手にエントリーしてくださったんです。
正直わたしは、「もっと良いサーベイが作れるのではないか、もっと改善できるのではないか」と改善点にフォーカスをする人間なのですが、そう言っていただいて少し安心したことを覚えています。
今回のサーベイは、どのような改善をしていますか。
今回から、企業・団体で働く従業員の声をよりレポートに反映する方針に変更しました。企業・団体が女性活躍を推進するためには、現場の従業員がそれを実感していることが必須であると考えているためです。
サーベイ内容は、前回との変化を把握しやすくするために大きな変更はありませんが、リモートワーク導入状況など、コロナ禍での女性活躍を推進するポイントを抽出したいと考えており、一部質問を追加しています。
また個社別のサーベイ管理システムを自社開発しまして、前回までにエントリーいただいた企業様は、過去のデータも見られるようになります。どの企業にも間口を広げたい思いで、エントリーやシステム利用は、無料で提供しております。
個社別の強みやもっと良くなるポイントを数値で示し、具体的にスコアを上げるためのアクションを提案することで、企業が女性活躍に取り組みやすい仕組みを作っていきたいと考えています。
例えば、英語の勉強においても、TOEICやTOEFLの点数を一つの英語力のものさしにすると、自身のレベルの現在地がわかり、目標点数を目指すなかで努力も可視化されるので、自然と英語の力がついていくと思います。このサーベイも同様に、女性活躍における信頼されるものさしのような存在になることを目指しています。
エントリーを検討している、企業・団体の皆様に一言お願いします
先日、世界フォーラムで発表されたジェンダーギャップ指数では、日本は156ヵ国中、120位。特に、政治と経済分野での低さが明らかです。同時に、この課題をきっかけに、各社が取り組みを見つめ直す時期にあると思います。
私は、Forbes JAPAN WOMEN AWARDを、一過性のお祭りにしたいわけではありません。各社が、課題に対して、具体的なアクションがわかり対応できる、実が生まれるものにしたいと思っています。ぜひ一緒に、小さな変化を積み重ね、ジェンダーギャップ解消の大きなうねりにしていけましたら幸いです。
(この記事は2021.05.17に公開されたものです)