目次
男女賃金格差の現状
日本の男女間賃金差は縮小してきているものの、世界各国に比べるとまだまだ大きいのが現状です。経済協力開発機構(OECD)の2020年時点調査によると、日本は男性賃金の中央値を100とした場合、女性は77.5。男女差は22.5ポイント開いています。
その要因は、「役職」「勤続年数」の違いが大きいという調査結果が出ています。もちろん雇用形態の違いや、性別役割意識による影響もありますが、「役職」「勤続年数」が要因の半分を占めているのが事実です。
現状の賃金格差を見てみると、男性を100とした場合、女性は74.3という賃金水準となります。仮に役職についての男女差を無くしてみた場合、賃金格差は40%も改善します。
そして先日政府で正式決定された「女性版 骨太の方針 2022」では、男女の賃金格差の開示義務化が、制度を改正した上で今年7月に施行されることが決まりました。
今後ますます企業は「ファクトデータ」を開示する必要性が増していきます。そしてデータを集める際、法律への対応という目的だけではなく、「何のために取り組んでいるのか」を改めて考えていく必要があります。
厚生労働省が主体となって推進をしていた「女性活躍推進」ですが、最近では男女賃金格差の問題のように、金融庁や経済産業省からの発信でも動き始めています。これは、政府が女性活躍推進に「経済成長の手段」として取り組んでいるということがうかがえます。
ここでまず、「なぜ女性活躍推進に取り組むのか」を、おさらいの意味をこめて言語化してみましょう。
何のために女性活躍推進に取り組むのか?
Forbes JAPAN WOMEN AWARD では、女性活躍推進はダイバーシティ&インクルージョンの一環であると考えています。VUCAと呼ばれる、変化の激しい時代だからこそ、ダイバーシティは必要です。様々な価値観を受容することで、変化への対応力や想像力、さらには意思決定の質も上がるからです。そして様々なダイバーシティがある中で、私どもは、まずは女性に特化すべきであると考えています。
その理由は二つあります。一つ目は、マイノリティの中でもボリュームゾーンであり、わかりやすく効果が出やすいという点。そして二つ目は、ベンチマークになるという点です。特に今の日本社会では、ワーキングマザーに労働環境のしわ寄せが溜まっている可能性があります。つまり逆に言うと、ワーキングマザーが活躍しやすい環境となれば、色々な人にとって活躍しやすい環境へと変化できる可能性を秘めているということです。
以上の理由から、当アワードではまず「女性」にフォーカスしてダイバーシティを推進していくことを推奨しております。
女性活躍推進が進むと、下記の5つの競争優位が築けると考えております。わかりやすいのは、「顧客志向」と「イノベーション」ではないでしょうか。多くの企業に適用できると思います。
特に「イノベーション」についてですが、男性だけだった世界に女性が加わると、間違いなくイノベーションは起こります。
ここで1つ、自動車の「ボルボ」の事例をご紹介します。衝突実験で目にするダミー人形を、テレビなどでご覧になったことがありますよね?あれは、男性の体型をもとに作られていたそうです。しかし統計によると女性の方がケガをしやすいということがわかり、女性の体型の人形を使うようになり、より精緻な実験ができるようになったそうです。
事故に関する責任部門にもともと女性がいたら、当たり前の発想だったんじゃないの?とも思いますが、もっと重要なのは、女性の存在が影響力を与えるレベルまでに人数比率を持っていくことだと考えています。
実際に、女性の活躍と企業の業績には相関関係があるというデータもありますが、そう簡単に企業成長につながるというわけではありません。競争優位性を築くためにはステップがあります。まずは女性の採用、次に定着、その次にポテンシャルを発揮することで、競争優位につながります。
ポテンシャルを発揮してもらうには、経営者の意図がしっかりと従業員ひとり一人まで浸透していることが重要です。ただ宣言するだけ、旗を振るだけでは足りないということです。では、具体的にどのようなことが必要なのでしょうか。
企業がやるべきことは?
どんなプロジェクトでもそうですが、成果を最大化するためにはPDCAサイクルを回すことが基本となります。特に、「Plan」「Check」が重要です。
「Plan」のためには、まず重要指標を可視化して、自社がどのフェーズにいるかを把握することが必須です。
こちらは、あえて一般化した図です。一般的な流れは採用→定着→活躍であり、それぞれ「基礎項目」として把握した重要指標(黄色)が各フェーズに関連します。
そして、分析するには必ず比較をする必要があります。比較の対象は、競合他社の数値のほか、一般的な中長期の目標数値があるのがこの分野の特徴であり、視野に入れる必要があります。
女性比率に関しては、10%→30%→40%という数値のステップがあります。10%だけだと、認知はされるものの、制度設計などのターゲットにはなりにくいのが現実です。30%となると、認知はもちろん、意思決定に様々な影響が与えられます。実際私も、時短勤務のワーキングマザーが多い部署に異動した際、ミーティングをコアタイム内に収めるなど、新たな工夫をしました。そして40%となれば、マジョリティに近くなり、当然のように考慮されるべき存在となります。
これらの目標数値との比較によって初めて、自社がどこに課題があるかを大まかに把握できるというわけです。
自社の状態に合わせた対策を検討することが必須ですが、柔軟な働き方の推進、特に「時間と場所の制約からの解放」に関する施策は今後、特に重要になってくると考えられます。
女性、特にワーキングマザーが、労働時間の制約が大きいのが今の日本の現実です。そのため時短勤務や法定以上の育休をとらざるをえなくなり、フルタイム社員との差が出てしまうという状況が生まれます。
企業側は「どれだけ企業の生産性を落とさずに、女性労働者の時間を創出できるか」が課題となります。その解決策が、フレックスタイム制度、在宅勤務・リモートワーク制度です。これらは「定着」にも効果的でありながら、「活躍」の促進のためにはもはや必須といえるのではないでしょうか。
「時間」「場所」に関する制度を主軸としたときに、それを支える諸制度も重要です。制度を設計して、なんとなく運用を開始しただけでは、「企業成長」や「競争優位性」まで到達するのはなかなか難しいでしょう。
概要になりますが、「支える諸制度」として、下記の図に示したような施策の例があります。自社の現状と照らし合わせて、有効なソリューションを選んでいくことが重要です。
また、ただやみくもに施策を打つばかりだと逆効果になってしまうということも、昨年のサーベイ調査結果からわかっています。
特に、「女性だけに下駄を履かせる」というような印象を与えてしまっては本末転倒となり、従業員全体のモチベーションを下げる結果となりかねません。重要なのは、管理職を通してその取り組みの意図を浸透させ、従業員までその意味を実感させることです。一つ一つ丁寧に浸透させることで初めて、業績につながるのです。
導入を検討するべき制度や、浸透のための具体的な施策については、Forbes JAPAN WOMEN AWARD のサーベイ調査にご参加いただけると、自社に合うソリューションのフィードバックを得ることができます。
取り組みの第一歩目として
まずは、「Plan」のための現状把握に取りかかってみませんか?私どもが開催するForbes JAPAN WOMEN AWARDでは、参加企業様に他社と定量的に比較したフィードバックレポートを無料で提供しております。社員のエンゲージメント、女性活躍推進の浸透状況、制度の整備状況などを可視化することができます。
全て無料となりますので、ぜひこちらを活用して、省エネで効率よく「Plan」「Check」を実施していただければ幸いです!
『Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2022』エントリー概要
<スケジュール>
2022年5月16日(月):エントリー開始
2022年7月8日(金)23:59まで:参加登録受付終了
2022年7月15日(金)23:59まで:エントリー締切
2022年7月15日(金)〜8月中旬:選考期間
2022年8月下旬:表彰企業決定及び通知
2022年10月上旬 :「Forbes JAPAN WORKSTYLE FORUM ーWOMEN AWARD 2022ー」(仮称) 実施
<エントリー方法>
エントリーページ:https://www.libinc.co.jp/women-award/2022/
参加登録〆切:7月8日(金)23:59