これまでキャリア女性の転職支援に特化してきたLiBでは今、そのノウハウや知見を活かす形で、男女問わず多様な人材を企業の意思決定層に送り込むことでダイバーシティを推進する、ハイクラス人材の紹介事業を展開しています。その事業責任者として活躍中の別宮(べっく)に、DXによって描く人材紹介の未来について語ってもらいました。
「人」に興味を持ったきっかけ
ー HR業界で15年以上活躍されている別宮さん。どんなきっかけで興味を持ったのでしょうか?
「人」に関わる仕事を志したのは、幼い頃から「人の可能性」に関心があったからでした。人は、初めから不可能と決めつけられていることは何ひとつなくて、可能性を信じることこそが、その人の力を最大限に発揮させるのではないか…と、漠然と考えていたんですよね。
その考えのもとになっている原体験は、幼少期からやっていた野球です。野球はご存知の通り、時間制限のないチームスポーツです。だから、「諦めない」「信じる」「粘る」といった精神性が、他のスポーツよりも大きな影響を与えます。野球を通して、私は「チームの粘りが引き起こす奇跡」のようなものをたくさん目の当たりにしてきました。奇跡を信じて、想いを託してこそ成り立つチームワーク。可能性は無限大でした。
さらにもう一つ原体験といえるのが、大学生時代の家庭教師のアルバイトでの経験です。ある中学生の生徒が、どうしても行きたい志望校にこだわり続けていました。あまりにもレベルが高いので、周囲は反対。しかしそれに屈せず、途中で何度もくじけそうになりながらも必死に頑張っていました。私は彼の可能性を信じ、その挑戦にとことん付き合いました。努力に努力を重ねた結果、志望校に見事合格。彼のやりぬく姿を見て、人は初めから不可能と決めつけられていることは何一つない、と確信したんです。
リクルートとグロービスで、人と組織を探求する
ー 可能性を信じることが引き起こす奇跡のような出来事が、「人材」に興味を持つ大きな原体験になっているんですね。
そうですね。人の可能性を信じ、人の成長に寄与し、人の生き方と個性が尊重される世界にしたい。それを軸に仕事をしていけたら…と考え、新卒で入社した会社を経たのち、リクルートに転職しました。
リクルートは全体的に雰囲気が若く、圧倒的なスピード感があり、とにかく社員がイキイキしていました。入社後、すごくワクワクしたのを覚えています。
手がけた仕事は、主に企業の採用支援です。特に印象的だったのは、20代の頃に携わった「3K職場」とすら言われていた採用不人気企業の案件。そこで働いている人がいる限り絶対に何か強みがあるだろうと信じ、自分でランダムに選んだ社員の皆さんに徹底的にインタビューしたんです。その企業ならではの魅力をとことん発掘した結果、採用大人気企業に変革することができ、全社表彰をいただきました。これは、「バイアス」の存在に気づかされた仕事でもありました。視点を変えれば、良くなる可能性を秘めている。また一つ、可能性を信じることの大切さを嚙み締めましたね。
表彰を受けたことを、その企業の社長にご報告すると、「もう別宮さんには、当社の担当から外れてほしい。別宮さんにはもっと偉くなってもらって、私たちのような会社を世の中に増やしてほしいから」と言われたことは今でも忘れないです。
ー 先ほどの、野球で培った「粘る」「信じる」に繋がるところもあり、別宮さんらしい仕事ですね!
ありがとうございます。でもだんだん、採用はあくまでも「スタート」で、その後の活躍や定着にこそ課題があるのでは…と思い始めたんです。リクルートには7年勤めましたが、採用以外のことを相談されても、月並みなアドバイスしかできないのがもどかしくなってきて。
これは企業だけではなく、個人側もそうです。転職はあくまでもスタートで、その後どうパフォーマンスを発揮するかが最も大事ですよね。結局、採用や転職が成功しても、企業も個人もなんだかんだ悩み続けている。だから自分も、採用支援だけではなく、「人×組織×経営」を学んで幅を広げたいと考え、グロービスに転職しました。
ー「人の可能性」を活かすことを、より深掘りしようと考えたんですね。
そうですね。グロービスでは、リクルートの時と同じクライアントに関わったりもしたのですが、得られる情報が全く異なるんです。当たり前ですが、採用支援では、企業の魅力…つまり、良いところばかりを語ってくれますよね。でも組織コンサルティングとなると、企業の課題を赤裸々に打ち明けてくれました。
マネジメントや組織づくりにおいて、企業はどんなことで躓いて、どこで悩んでいるのか、解像度が一気に上がりました。事業責任者や管理職が抱える悩みは、多くの企業で共通していましたね。新卒採用・年功序列が一般的な時代…つまり自分と似たような人が職場に集まっていた時代とは異なり、人材が多様化すればするほど、メンバーの理解は難しくなってくるわけです。「対話が大事」というのは理解しているけど、どのように対話をしたらよいのかわからない。特に、女性社員への対応は難しい。こういった声は本当によく聞きました。
例えば、「女性だから」という理由で過度にケアをして責任のある仕事を任せず、結果的に企業側が女性の成長機会を奪ってしまっているのに、その事実に気づくことができず、「うちの女性社員はなかなか成長しない…」と悩んでいたり。一見、本当にそんなことがあるの?と疑ってしまいそうなことが、リアルに、多くの企業で起こっていたんですよね。
LiBとの運命的な出会い
ー もしかして、そのときの課題感が、LiBでの仕事に繋がっているんですか?
間接的には、それもあるかもしれませんね。LiBには、グロービスで5年勤めた頃に、執行役員の佐藤から誘われる形でジョインしました。
実は、LiBのことはだいぶ前から知っていたんです。リクルート時代に、あるプロジェクトで佐藤と一緒に仕事をしたことがあって。部署は全然違ったのですが、そのプロジェクトでの仕事ぶりが非常に優秀で、すごく印象的でした。その佐藤から後日、リクルート卒業(退職)の挨拶メールが届いて、そこには「女性のキャリア支援を行うLiBを創業する」と書いてありました。
当時たまたま自分が、とある大手企業の女性採用関連の仕事を担当していたこともあり、そのメールを見てピンと来たんですよね。退職の挨拶メールって、まったく知らない人だったら、読むことだけで終えてしまいがちですよね。でも、ちょうど女性活躍推進や女性のキャリアについて勉強をしていた自分にとっては、運命的なものを感じたんです。
ー プロジェクトで一緒になったこと、ご自身が女性採用について考えていたこと…。たしかに、偶然が重なった運命的な出会いですね。
創業当時のLiBはよくオフィスパーティを開催していて、私も何度か遊びに行きました。社長のプレゼンも、社員の勢いも、スタートアップならではの熱量が高く、圧倒されました。さらにリクルートの仲間がどんどんLiBにジョインするのを見ていて、とにかく気になる存在でした。
LiBzPARTYの乾杯の写真
一方で、ずっと採用の仕事をしてきたからこそ、「女性のキャリア」というテーマの難しさは認識していました。普通のことを普通にやるだけでは、ビジネスとしては苦しいだろうな…と。
でも創業から何年か経って、佐藤が採用責任者をやっている時に、これまでパーティで話す温度感とは明らかに違うトーンで誘われたんです。ちょうど、エンジニア出身の経営メンバーの近藤がジョインした頃だったと思います。会社のフェーズが大きく変化することが伝わってきました。
HR業界の負は、テクノロジーの力で解決したいと思っていること。経営や組織マネジメントの中で蔓延る古い価値観が、あらゆる人が本来持っているはずの「可能性」を潰している、ということ。社長や役員と面談を重ねるうちに、それらの話ですっかり意気投合してしまって。本当に、「ですよね~」の連発だったのを覚えています(笑)。
LiBzPARTYで撮った佐藤との写真
この人たちとなら、自分が本当にやりたいと思っている課題解決にチャレンジできるかもしれない。たとえ失敗しても後悔しないかもしれない。直観的にそう感じて、LiBへのジョインを決めたのです。
テクノロジーを活用して、人材紹介ビジネスをアップデート
ー 今では、ハイクラス人材に特化したサービスの事業責任者として活躍中ですね。でも、いわゆる普通の転職エージェントは目指していない、と伺っています。
そうですね。今LiBは、「生きるをもっとポジティブに」というビジョンのもとで、企業のジェンダーギャップ解消などの社会課題解決に挑んでいます。
そういったテーマにおいて、いくら個人に寄り添って転職支援をしたところで、結局は企業側の、組織のほうこそ変わっていかないと、課題解決は進まないんですよね。つまり、企業の「意思決定権限を持つ人たち」の価値観を変えていかないと、本質的には社会は変わらないと思っています。
我々の事業には、クライアント企業の社長や経営に近い人たちと一緒になって、ダイバーシティに関する意識を高め、社会変革を促すという役割があります。企業のコアポジションに、新しい価値観をもつ多様な人材をプレイスして、企業成長と社会課題解決を推進していく。これが自分たちのミッションです。未来へのレバレッジが大きく、非常にやりがいがありますね。
ーテクノロジーの力を積極的に活用して、業界の負を変革する取り組みも行っているそうですね。
はい、今まさにチャレンジしているところです。人材紹介のビジネスは、どうしても属人的になりがちです。それが必ずしも悪というわけではないですが、私たちのエージェントでは、属人ではなくテクノロジーを駆使して労働市場の負を解消していきたいと考えています。
労働市場には今もなお、ジェンダーをはじめ、年齢や学歴といったたくさんのバイアスが存在します。これらが、本来誰もが持っているはずの「可能性」を妨げていると感じています。
属性で切り分けて考えるロジックは、長年行われてきた採用選考のオペレーションにおける何らかの「効率性」から発生していると考えられます。しかし、そのロジックだけが一人歩きしていった結果、バイアスに繋がっているのだと思います。
私はこのバイアスを取り払い、人と企業を正しくマッチングできる世界を創りたいと思っています。でもビジネスにする以上、効率性は担保したいですよね。属人ではどうしても限界があります。だから、データを活用するんです。企業が求めるものや期待役割、個人のこれまでの活躍や成果などをデータ化し、最適なマッチングする。企業が求める人物像や、個人が本当に活躍できる環境を、正しく可視化する。そんな風に、可能性を担保しながら、効率的に人と企業が出会える世界を創ることをビジョンとして描いています。
ー「効率性」を適切にアップデートすれば、ロジックの一人歩きによるバイアスもなくなっていくということですね。
そう思っています。特にジェンダーバイアスは根深くて、社会課題としての歴史も長いので、その解決に目を向けて挑んできたLiBには、ノウハウもあります。これからはより広い範囲でバイアスをなくす挑戦をするために、テクノロジーの力をどんどん活用し、人材紹介ビジネスのDXを推進していこうと考えています。
人材紹介ビジネスの経験がある人の中には、その労働集約な働き方に限界を感じたり、人を人ではなく「モノ扱い」させてしまう極端なKPIマネジメントに嫌気がさす人がたくさんいるのではないでしょうか。自分自身も、業界として限界を迎えているのではないか、と以前から感じていました。
だからこそ今、私たちの事業では、人×テクノロジードリブンのプロダクトシフトを目指しています。そのためにはとにかくやりたいこと、やるべきことが山積みで、まだまだたくさんの仲間が必要だと思っています。
フルリモート勤務でハイパフォーマンスするメンバーたち
ー 従来型の人材紹介とは一線を画す、新たな挑戦ができそうですね!現在、採用を加速中だそうですが、チームはどんな雰囲気なのでしょうか?
スタートアップならではの粘り強さ、カオス耐性がありながらも、思考が柔軟でスマートな人が集まっている絶妙なチームだと思います。仕事の進め方に変に固執せず、良いと思ったことは皆どんどん採り入れていく姿勢がありますね。人材紹介ビジネスそのものにも固執していなくて、LiBのビジョン・ミッションの実現のための、ひとつの手段だと考えていると思います。
LIBZ 幹部ドラフトの一部のメンバーとの写真
通勤&移動にかかっていた無駄な時間を削減し、最大限のパフォーマンスを出すことに価値を置いているので、働き方も非常にスマートです。全員がほぼフルリモート勤務で、大阪や大分に住んでいるメンバーもいます。またバックグラウンドも非常に多様で、人材業界出身者だけでなく、元弁護士、元ミュージシャンがいたり。子育てしながら働いているメンバーも多いので、何かあれば助け合える風土もありますよ。
かくいう私も実は名古屋に住んでいて、2人の息子を育てながらフルリモート勤務でマネジメントをやっています。オフの日はキャンプやBBQをしたり、子どもたちの習い事につきあったりと、家族との時間を大切にできています。LiBは今、成長フェーズに入っているので、新しいチャレンジも多く、仕組みも整っていないカオスな環境です。そんな環境下で思いっきり仕事をして、学んで、成長し、かつ家族との時間も両立させるという、本当に贅沢な人生を過ごせていると思います。
息子たちと桜並木の中で
ー 事業責任者が率先して新しい働き方を実践していると、メンバーの皆さんも自分らしく働くことができそうですね。最後に、LiBに興味のある方へメッセージをお願いします。
多様性はありつつも、根っこの価値観が同じ人と働いたほうが楽しいし、気持ちいいと思っていて。だから私はやっぱり、「人の可能性を信じて止まない人」と一緒に働きたいですね。難しいトライを諦めない人と、一緒に良い汗を流したいです。
また、労働集約的な働き方に違和感を持っている人、その違和感に対して、評論家ではなく一緒に変えていこうと挑戦してくれる人が仲間になってくれると、とても嬉しいです。会社としても、今LiBはとてもおもしろいフェーズに入っているので、仲間が増えるのを楽しみにしています!
別宮さんってこんな人!
★今プライベートでハマっていることは?
家族でCAMPに行くことです。CAMPグッズを少しずつ増やしていくことも楽しいです。
★身長190cmの別宮さん。高身長あるあるエピソード教えて下さい!
蜘蛛の巣によく引っかかります。秋口の蜘蛛の巣は特に低めに位置しているので、頻度が高まります。
★別宮さんが思う「ここがスゴイよLiB」は何ですか?
利他的な想いを持っていて、仕事にも真剣で優秀な人が多いと思います。
一緒に働いていて気持ちのよいメンバーばかりです。
★別宮さんにとっての自分らしい仕事のカタチとは?
いつでもどこでも誰とでも働ける世界を自らが真っ先に体現する。
そして新しい働き方が加速し、一人一人の生き方が尊重される世界を創ることです。
【採用募集】
LiBでは、エグゼクティブコンサルタントを募集しています!
以下より、お気軽にお問い合わせください。
エグゼクティブコンサルタント 兼 サービス開発
https://herp.careers/v1/libcorp/eEPmKgsuA7PL
インタビュー・撮影:岡田 麻未(株式会社LiB)
ライティング:高嶋 朝子(株式会社LiB)
WEBメディアや広告の制作ディレクション、イベントプロモーションなどの仕事をしながら、プライベートでは結婚・出産を経験。2017年、自身のライフイベント経験を活かせる事業テーマに向き合うため、LiBにジョイン。リモートやフレックスを活用して二児の子育てをしながら、コンテンツクリエイティブの企画制作、ライティングを担当。
(この記事は2021.12.09に公開されたものです)