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【裏側公開】ワークシフトの歩みを振り返る!LiBの試行錯誤の歴史(前編)

コロナ禍で急速に普及したリモートワークをはじめ、時間と場所にとらわれない柔軟な働き方は、従業員エンゲージメントの向上のみならず、企業競争力の強化にも直結すると言われています。

 

そんな変化の流れを受け、もともと女性キャリアにフォーカスして働き方の問題に向き合ってきたLiBは、男女問わず生き方に働き方を合わせる時代の到来に向けて、新たに「ワークシフト」というテーマに掲げました。

 

今LiBは、個人の生き方を尊重しながら最もパフォーマンスの上がる働き方を自律的に選択できる労働環境を自ら体現することで、ミッションの実現へと邁進しています。しかし、そこに至るまでにはさまざまな葛藤の歴史がありました。ワークシフトと言っても、一筋縄ではいかない。働き方改革はそんなにシンプルなものではない。LiBは、痛いほどそれを理解しています。

 

本記事ではそんな試行錯誤を振り返りながら、2019年頃、コロナ禍以前に着手されたLiBの働き方改革の歩みを紹介します。今まさにワークシフトに取り組む企業様にとって、少しでもヒントになれば幸いです。

 

前編:人事制度改革以前~人事制度改革が始まる ←今回はココ
後編:「ワークシフト」の夜明け~ワークシフト支援企業として、目指している姿

登場人物Profile


近藤 和弘(写真左)
ソニー入社後ソフトウェアエンジニアとして、日本初のAndroid端末開発に従事。その後株式会社ディー・エヌ・エー入社、執行役員/欧米子会社VPとしてグローバル向けモバイルゲームとスマートフォン用プラットフォーム/技術開発を経験。2018年10月LiB入社、2018年12月取締役就任。

品川 皓亮(写真右)
京都大学法科大学院を修了後、司法試験に合格し、TMI総合法律事務所にて企業法務を中心に弁護士として活動した後、2016年8月LiB入社。営業経験を経て、人事にてCCO(Chief Culture Officer)を務める。現在はLIBZ 幹部ドラフトのコンサルタント兼クライアントサクセスを担当。4児の父。

 

人事制度改革以前

■ 創業~2017
LiBの創業期の2014年、代表の松本は自身のブログでこんなことを語っています。


今までの働き方はフォーマットが画一的すぎる。しかも正社員、フルタイム、残業前提。どれもこれも「企業戦士型男性仕様」のフォーマットだ。多様な価値観が生まれ、多様な生き方、自己実現を求める人がより増えて行く今の時代においてこのフォーマットは女性のみならず、早晩、男性にも限界が来ると思う。僕の周りの優秀な男性ほど、時間も、場所も、囚われずに自分自身のフォーマットで社会参加している。

多様な人々が、多様なフォーマットの中、自分らしい価値観に基づいて社会参加し、自己実現が描けるための選択肢を実現したい。僕の起業の想いはこの言葉に集約できると思う。

当時の松本ブログ 2014-11-23「僕はなぜ起業したのか?」より


 

実際にその頃のLiBでは、家族とキャリアのどちらも諦めない働き方を応援するべく、さまざまな工夫をしていました。

【オフィス出勤週0日正社員】家族と向き合う新制度をつくりました。
「家族とキャリア」どちらも諦めない働き方、創りました!

今では一般的になったリモートワークは当時、一部のITスタートアップでもエンジニアやクリエイティブ職に限っているケースが多く、大手企業では少しずつ試験的に導入を始めている程度の普及率でした。しかしLiBではこの頃から、創業の想いを体現するべく、リモートワークをはじめとした多種多様な働き方のフォーマットをつくることに挑戦していました。

この頃の働き方
・出社推奨、リモートは個別相談
・フレックスなし

 

多様なメンバーが個性を活かして、自由に、自律的に働くスタートアップ。そんな空気感が誇りでもありました。しかし2017年頃、LiBはIPOを見据えた組織体質改善に取り組み始めます。IPO準備という組織ステージの変化に耐えうる「強さ」を求め、カルチャーを整える段階に入ります。

2018年の全社向け年頭メッセージでは、「シンプルなゴールに向かって、シンプルに決め、シンプルにやりきる組織」を目指す、と宣言しています。自由度の高かった働き方も、極力シンプルに整える方向になりました。

■ 2018.2
上記の宣言を踏まえて、人事制度をチューニング。ここでは主に、働き方と評価(報酬)の考え方がリニューアルされました。この考え方は、当時働き方について先進的な取り組みを行っていた企業の制度を参考にしたものでした。

しかし、リモート日数に応じて給与に影響が出る「働き方係数」という仕組みにより、それまで個々の事情に合わせて柔軟に活用されていたリモートワークが、一気にやりづらい空気になってしまいます。報酬を維持するならば明らかに「出社が推奨」というメッセージに、リモートだからこそ働くことができていた人たち(主に子育て中のメンバー)からは戸惑いの声が漏れ聞こえましたが、時はIPOを見据えた臨戦態勢。なかなか声を上げづらい空気がありました。

一方で、当時常態化していた子育て中のメンバーの持ち帰り残業について社長から施策が打たれるなど、社員の働き方をヘルシーにするための動きもありました。業績を急成長させながらも、なんとかして創業時の思想を守りたいという葛藤が、現場にもひしひしと伝わってきました。

■ 2018.6
その頃、弁護士出身という異例のキャリアで法人営業マネージャーに挑戦していた品川が人事部に異動。社内でも人物面の信頼が厚く、「徳が高い」と評判の品川は、拡大していく組織のカルチャーを築き上げる役割の「CCO(Chief Culture Officer)」に就任しました。

営業マネージャーとして、身の丈以上の目標に向かってハードなチーム運営をせざるを得なかった経験から、ヘルシーで元気な組織を築き上げるというミッションに向かって一念発起。人事は未経験ながら、他社事例を学んだり、人事に関する書籍を読み漁ったりして、ゼロベースで考える日々が続きました。

品川:
当時のリーダー合宿の場で、人事への異動を打診されたんですよね。たしかみなとみらいの「万葉の湯」でした(笑)。営業マネージャー時代、メンバーの残業が常態化したり、退職が続いたりするのに胸を痛めながらも、営業ノルマとの板挟みで無力感を抱いた経験があって。だからカルチャーを整えることで、なんとか会社をいい状態に変えていけたら…と意気込んでいました。

 

まずは新入社員がスムーズに仲間になり戦力化するためのオンボーディングを企画。そして新卒内定者のインターン対応や、組織のルールを整理しました。品川の持ち前の徳の高さ、そしてピュアに学びながら皆を巻き込む力のおかげで、これからのLiBのカルチャーや組織に希望を持てる人が徐々に増えてきました。

カルチャーは順調に整っていきますが、事業はどうだったのでしょうか。社外広報ではIPOを目指すキラキラベンチャー感が漂い、全社会議では勢いのあるメッセージが飛び交います。しかし、現場では相変わらず、無理ゲーを必死でこなす日々が続いていました。無理ゲーを無理ゲーだと自らが認識するヒマもなく…。

この頃の働き方
・出社推奨、リモートは係数前提で上長と相談の上で契約
・フレックスなし

 

人事制度改革が始まる

■ 2018.10
無理ゲーに苦戦しつつも、IPOを目指す勢いのあるベンチャー感が高まってきていた頃、代表・松本のnoteで「漫画のように現れた救世主」と表現された、現・取締役の近藤が入社します。

近藤の入社当時の印象は、松本の投稿に呼応する形で書かれたnoteに生々しく綴られています。そして近藤のジョインを機に、LiBは大規模な事業構造改革へと突入します。

近藤:
入社後いろいろな社員とコミュニケーションを取っていくと、社歴が浅い人ほど元気で、古株な人ほど、どこか表情に曇りがあるという印象を受けました。ポジティブとネガティブが混在している。みんなそれぞれ本音を隠して、懸命に士気を高めようとしているような空気感でした。

 

人事では、CCOの品川の主導のもとで組織の運営ルールを定めるとともに、ビジョン・ミッション・バリューの再定義について議論が始まりました。

■ 2019.1
ミッションの再定義とバリューが完成。カルチャーの土台ができてきたのを機に、いよいよ近藤から品川へ人事制制度再設計の相談が持ちかけられます。

近藤が入社してすぐに気づいたのは、リモートが活用しづらい・フレックス制度がないといったワークスタイルへの違和感。社員からも改善要望が挙がっていたほか、近藤自身も、掲げている事業テーマやビジョンとの「強烈なズレ」に気持ち悪さを感じていました。

近藤:
品川さんの人事としての数々の活躍を見て、働き方改革もやってみたらいいんじゃないか?と思ったんです。新参者の自分が発案して実行するよりも、社長からも社員からも信頼が厚く、かつ現場で苦しんだ経験を持つ品川さんの方が適任だと思いました。人事未経験で、自身も学びながら社員と一緒に考えていくというスタイルも、求心力があるように感じたのです。ちょうどミッションの再定義が完了したタイミングで、LiBの構造改革のひとつとして相談をしました。

 

しかし、時はIPOへの道のりの真っ只中。働き方が柔軟なほうがよいに決まっていることは理解しつつも、この大事な時期に自由度を上げるという提案に、社長をはじめ、ほとんどのマネジメント陣は渋い表情を見せました。未知なる挑戦に対して「本当に大丈夫なのだろうか」という懸念が払拭できなかったことや、一度緩めたものを元に戻すのは困難だということから、半信半疑な状態で改革の推進を見守ることになります。

 

>>後編へ続く

 

 

取材・編集・撮影:高嶋 朝子(株式会社LiB)

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